今日の一冊「密やかな結晶 (講談社文庫)」小川洋子、著

ここ数日、停電したり飲み会だったり二日酔いだったりで本を読めてないので、
以前読んだ本から。


記憶が消えていく島。
そこで小説を書いて暮らしている主人公も、徐々に自分自身を失ってゆく。
その中で、ごく一部だけいる、記憶の消えない人々。
失うこと、失わないこと。
消えてゆくこと、残り続けるもの。
自分の身体までも失ってゆく中で……


素晴らしい小説です。
同著者の作品は何冊も読んでいますが、物語の美しさはこれが一番です。
また、非常に「小川洋子らしい」作品です。
エンディングの美しさは、まさに息を呑むものです。


長編ながらも、比較的に読みやすくもあります。
博士の愛した数式 (新潮文庫)を読んで小川洋子を気に入ったら、ぜひ読んでみるべきです。


密やかな結晶 (講談社文庫)